インプラント治療を受けたあとに、

  • インプラントがぐらついてきた
  • 歯ぐきが腫れて、膿や出血がある
  • 噛むと痛い
  • 見た目や噛み合わせに納得できない
  • 治療を受けた歯科医院へ通えなくなった

などの問題が生じ、インプラントのやり直しや他院での再治療を検討している方もいるでしょう。

インプラントに問題が起きた場合でも、必ずしもインプラント体を撤去して、最初から治療をやり直すとは限りません。

人工歯やネジなどの部品を交換するだけで改善できる場合もあれば、インプラント周囲の炎症を治療して、現在のインプラントを残せる場合もあります。一方、インプラント体の破折、強い動揺、進行した骨吸収などがある場合は、インプラントを撤去し、再埋入を検討することがあります。

インプラントをやり直せるかどうかは、現在の症状だけでは判断できません。問題が起きた原因、顎の骨や歯ぐきの状態、インプラントの位置、使用されている製品、全身状態などを確認する必要があります。

この記事では、インプラントの再治療が必要になるケース、現在のインプラントを残せる可能性、撤去と再埋入の流れ、他院で相談する際に準備したい資料について解説します。

インプラントの再治療・やり直しは可能です

インプラント治療後に問題が生じても、状態に応じた再治療を受けられる可能性があります。

ただし、「インプラントの再治療」には、次のような異なる治療が含まれます。

再治療の内容主な対象
人工歯の調整・再製作色や形、噛み合わせ、破損に問題がある
ネジやアバットメントの交換ネジの緩み、連結部品の破損がある
インプラント周囲の治療歯ぐきの炎症、出血、膿、骨吸収がある
骨や歯ぐきの処置骨量・歯肉量の不足、見た目の問題がある
インプラント体の撤去インプラントの動揺、破折、重度の骨吸収などがある
インプラントの再埋入撤去後に条件を整えて再びインプラントを入れる
ブリッジ・入れ歯への変更再埋入が難しい、または別の治療を希望する

つまり、再治療を検討する際には、まず「どの部分に問題があるのか」を特定する必要があります。

インプラントの上に装着されている人工歯だけに問題があるケースと、顎の骨に埋め込まれたインプラント体そのものに問題があるケースでは、必要な治療が大きく異なります。

インプラントの構造ごとに再治療の方法が異なります

一般的なインプラントは、主に次の3つの部分から構成されています。

  1. 顎の骨に埋め込まれたインプラント体
  2. インプラント体と人工歯をつなぐアバットメント
  3. 外から見える上部構造と呼ばれる人工歯

見た目が悪い、人工歯が欠けた、ネジが緩んだといった問題であれば、インプラント体を残したまま修理や交換ができることがあります。

一方、インプラント体が骨と結合していない、インプラント体自体が折れている、周囲の骨が大きく失われている場合は、撤去を検討することがあります。

「ぐらつく」という症状だけでも、次のように原因が異なります。

  • 人工歯が動いている
  • ネジが緩んでいる
  • アバットメントが破損している
  • インプラント体が骨の中で動いている
  • 周囲の骨が減少している
  • 隣の歯が動いている

患者さん自身が、どの部分が動いているのかを判断することは困難です。指や舌で繰り返し触って確認せず、早めに歯科医院を受診しましょう。

インプラントの再治療が必要になる主なケース

インプラントが骨と結合していない

インプラント手術後には、インプラント体と顎の骨が結合する期間が必要です。この結合はオッセオインテグレーションと呼ばれます。

手術後の初期段階でインプラントが骨と十分に結合しないと、インプラント体に動揺が生じることがあります。

考えられる要因には、次のようなものがあります。

  • 手術部位の感染
  • インプラントに早期から強い力が加わった
  • 骨の量や質
  • インプラントの初期固定
  • 喫煙
  • 糖尿病などの全身状態
  • 服薬の影響
  • 手術部位への過度な刺激

骨と結合していないインプラント体を、そのまま長期間使用することは困難です。状態によっては一度撤去し、原因を検討したうえで再治療を計画します。

インプラント周囲炎が進行している

インプラント周囲炎は、インプラント周囲の歯ぐきに炎症が起こり、周囲の骨にも吸収が及んでいる状態です。

初期段階では、歯ぐきからの出血や腫れなどが中心で、インプラント体を残したまま治療できる可能性があります。

しかし、骨吸収が進行し、インプラントを支える骨が大きく失われている場合や、インプラント体が動いている場合は、撤去が必要になることがあります。

インプラント周囲炎の症状や初期対応については、「インプラント術後のトラブルシューティング完全ガイド」もあわせてご確認ください。

インプラント体が破折している

顎の骨に埋め込まれたインプラント体が折れることがあります。

インプラント体の破折には、長期間にわたる過度な噛む力、歯ぎしり・食いしばり、インプラントの太さや位置、上部構造の設計などが関係することがあります。

インプラント体そのものが破折している場合、基本的には破折した部分を骨から取り除く必要があります。

ただし、破折位置や周囲の骨の状態によって撤去の難易度が変わります。骨の深い部分に破折片が残っている場合は、撤去によって神経や血管、上顎洞などを傷つける危険性も考慮しなければなりません。

ネジやアバットメントが破損している

人工歯を固定しているネジやアバットメントが緩んだり、折れたりすることがあります。

インプラント体が骨の中で安定していれば、破損した部品を取り除き、新しい部品や人工歯へ交換できる可能性があります。

ただし、部品を交換するだけでは不十分なこともあります。

ネジの緩みや破折を繰り返している場合は、噛み合わせ、歯ぎしり、人工歯の形、インプラントの位置などに原因がないか確認する必要があります。原因を改善せず部品だけを交換すると、同じ問題が再発する可能性があります。

人工歯の見た目や形に問題がある

人工歯の色、形、長さ、歯ぐきとの境目に違和感がある場合は、人工歯の再製作や歯ぐきへの処置を検討します。

インプラント体の位置が適切で、骨や歯ぐきの状態に大きな問題がなければ、上部構造の作り直しによって改善できる場合があります。

一方、インプラント体が唇側や頬側に寄りすぎている、深さや角度が適切でない場合は、人工歯だけでは改善できる範囲に限界があります。

特に前歯では、インプラントの位置が歯ぐきのラインや人工歯の形に影響します。状態によっては、歯ぐきの移植、骨造成、矯正治療、インプラントの撤去・再埋入などを含めて検討します。

噛み合わせが合っていない

人工歯が高く感じる、特定の場所だけが強く当たる、噛むと痛いといった場合は、噛み合わせの確認が必要です。

軽度であれば、人工歯の調整によって改善できることがあります。

しかし、インプラントの位置や人工歯の設計に問題がある場合、上部構造の再製作が必要になることがあります。全体の噛み合わせが崩れているケースでは、インプラント部分だけでなく、残っている天然歯を含めた治療計画が必要です。

神経症状や上顎洞の問題がある

下顎のインプラント治療後に、唇や顎、舌などのしびれが続く場合は、神経への影響を確認する必要があります。

上顎奥歯の治療後に、鼻づまり、鼻から膿が出る、頬の痛みなどがある場合は、上顎洞との関連を調べることがあります。

このようなケースでは、歯科だけでなく、口腔外科、耳鼻咽喉科、神経を扱う医療機関などとの連携が必要になる場合があります。

症状が強い場合や手術直後からしびれが続いている場合は、長期間様子を見ず、速やかに治療を受けた歯科医院へ連絡してください。

再治療では「残せるか」「撤去すべきか」を判断します

インプラントに問題があっても、すぐに撤去するとは限りません。

再治療では、主に次の3つの方向から治療方針を検討します。

現在のインプラントを残して治療する

インプラント体が骨の中で安定しており、問題が人工歯、ネジ、アバットメント、軽度の炎症などに限られる場合は、インプラント体を残して治療できる可能性があります。

主な治療には、次のものがあります。

  • 人工歯の調整
  • 人工歯の再製作
  • ネジの締め直し・交換
  • アバットメントの交換
  • 噛み合わせの調整
  • インプラント周囲のクリーニング
  • 炎症部分への非外科的治療
  • 必要に応じた外科的な清掃
  • 歯ぐきや骨への処置

現在のインプラントを残せれば、撤去や再埋入に伴う身体的負担、治療期間、費用を抑えられる可能性があります。

ただし、保存が難しいインプラントを無理に残すと、周囲の骨吸収が進み、将来の再治療がさらに難しくなることがあります。

インプラントを撤去して再埋入する

インプラント体に強い動揺がある、インプラント体が破折している、進行した骨吸収があるなど、保存が難しい場合は撤去を検討します。

撤去後に顎の骨や歯ぐきの状態を整え、同じ場所へ新しいインプラントを埋め込めるケースもあります。

ただし、一度インプラントが失敗した場所では、次のような問題が残っている可能性があります。

  • 骨量の不足
  • 感染や炎症
  • 骨の形の変化
  • 歯ぐきの不足や瘢痕
  • 噛み合わせの問題
  • 清掃しにくい人工歯の設計
  • 喫煙や歯周病などのリスク要因
  • 全身状態の影響

最初の治療がうまくいかなかった原因を確認せず、同じ場所へ同じ条件でインプラントを入れ直しても、再び問題が起こる可能性があります。

過去にインプラントが失敗した部位への再埋入は可能ですが、初回治療より結果の予測が難しくなることがあります。ある系統的レビューでは、失敗部位へ再埋入したインプラントの全体的な生存率は86.3%でした。ただし、対象となった症例や治療方法には違いがあり、個々の患者さんの結果を保証する数値ではありません。

インプラント以外の方法へ変更する

インプラントを撤去したあと、必ず再びインプラントを入れなければならないわけではありません。

骨の状態、全身状態、費用、治療期間、患者さんの希望によっては、次のような選択肢もあります。

  • ブリッジ
  • 部分入れ歯
  • 接着性ブリッジ
  • インプラントを使用した取り外し式義歯
  • 欠損部位や噛み合わせによっては経過観察

再埋入だけを前提にせず、利用できる治療方法のメリットとデメリットを比較することが大切です。

インプラントを撤去する方法

インプラントの撤去方法は、インプラント体の状態や周囲の骨との結合状態によって異なります。

逆回転させて撤去する方法

専用の器具をインプラントへ接続し、埋め込んだときと反対方向に回転させて撤去する方法があります。

周囲の骨を削る量を抑えられる可能性があり、撤去後の再治療を考えるうえでも有利になることがあります。

ただし、すべてのインプラントをこの方法で撤去できるわけではありません。インプラントの接続部分が破損している場合や、強く骨と結合している場合などは、別の方法を検討します。

インプラント周囲の骨を削る方法

トレフィンバーと呼ばれる筒状の器具などを使用し、インプラント周囲の骨を削って撤去することがあります。

インプラント体が強く骨と結合しているケースにも対応できる一方、撤去に伴って周囲の骨が失われる可能性があります。

再埋入を予定している場合は、撤去時にどの程度骨を温存できるかが、その後の治療計画に影響します。

超音波機器などを使用する方法

症例によっては、超音波振動を利用した骨切削機器などを使用し、周囲組織への影響を抑えながら撤去を進めることがあります。

どの方法が適しているかは、インプラントの位置、太さ、長さ、破折の有無、神経や上顎洞との距離などを確認して判断します。

撤去した当日に新しいインプラントを入れられる?

インプラントを撤去した当日に、新しいインプラントを埋め込める場合があります。

ただし、次のような条件を慎重に確認する必要があります。

  • 感染を適切に除去できる
  • 新しいインプラントを固定できる骨が残っている
  • 神経や上顎洞などとの距離を確保できる
  • 新しいインプラントを適切な位置へ埋め込める
  • 骨造成を含めた処置が可能である
  • 全身状態に問題がない
  • 再治療の原因を改善できる

感染が強い場合、骨が大きく失われている場合、撤去時に骨の欠損が広がった場合などは、当日の再埋入を行わないことがあります。

撤去後に感染や炎症を治療し、骨や歯ぐきの治癒を待ってから再埋入するほうが適しているケースもあります。

再治療で骨造成が必要になることがあります

インプラント周囲炎やインプラントの撤去によって骨が失われている場合、再埋入前または再埋入と同時に骨造成を行うことがあります。

骨造成には、骨補填材や患者さん自身の骨などを使用し、不足している部分を補う方法があります。

骨の欠損が大きい場合は、次のように段階的に治療することがあります。

  1. 問題のあるインプラントを撤去する
  2. 感染組織を取り除く
  3. 傷口の治癒を待つ
  4. 骨造成を行う
  5. 骨が安定するまで待つ
  6. 新しいインプラントを埋め込む
  7. インプラントと骨の結合を待つ
  8. 仮歯や最終的な人工歯を作製する

初回のインプラント治療よりも手術回数が増え、治療期間が長くなることがあります。

他院で再治療を相談するときに確認されること

他院でインプラントの再治療を受ける場合、現在の症状だけでなく、過去の治療内容を把握することが重要です。

問題が起きた時期と経過

次のような経過を整理しておきましょう。

  • インプラント手術を受けた時期
  • 人工歯が入った時期
  • 症状が始まった時期
  • 痛み、腫れ、出血などの変化
  • 治療後に受けた処置
  • 抗菌薬や鎮痛薬の使用
  • メンテナンスの頻度
  • 歯ぎしりや食いしばりの有無
  • 喫煙状況
  • 糖尿病などの全身疾患
  • 現在服用している薬

「いつから、どのような症状があり、どう変化したか」を時系列で伝えると、診断の参考になります。

インプラント体と人工歯の状態

新しい歯科医院では、次のような項目を確認します。

  • インプラント体の動揺
  • 人工歯やネジの緩み
  • 歯ぐきの腫れ・出血・排膿
  • インプラント周囲のポケット
  • 骨吸収の範囲
  • インプラントの位置と角度
  • 隣接する歯の状態
  • 噛み合わせ
  • 清掃のしやすさ
  • 歯ぐきの厚みと形
  • 神経や上顎洞との位置関係

レントゲン撮影に加え、必要に応じて歯科用CTによる立体的な確認を行います。

使用されているインプラントのメーカー・製品

インプラントには多くのメーカーや製品があり、部品の形や接続方法が異なります。

現在使用されているインプラントのメーカー、製品名、太さ、長さ、接続規格などがわかると、ネジやアバットメント、人工歯を交換できるか判断しやすくなります。

反対に、製品情報が不明な場合や、すでに製造・供給が終了している製品の場合は、対応する部品を入手できないことがあります。その場合は、人工歯の修理・交換が難しくなり、別の治療方法を検討することがあります。

転院前に準備したい資料

他院で再治療やセカンドオピニオンを受ける場合は、可能であれば、元の歯科医院から次の資料を受け取りましょう。

  • インプラントカード
  • インプラントのメーカー・製品名
  • インプラント体の直径・長さ
  • 手術日と人工歯を装着した日
  • 手術記録
  • 治療計画書
  • 治療前後のレントゲン画像
  • CT画像と撮影データ
  • 口腔内写真
  • 使用した骨補填材などの情報
  • 人工歯の固定方法
  • メンテナンス記録
  • 紹介状・診療情報提供書
  • 費用明細や保証書

すべての資料がそろわなくても相談はできます。ただし、過去の画像や製品情報があれば、不要な検査の重複を避けたり、問題が起きる前後の変化を比較したりしやすくなります。

厚生労働省の指針では、診療記録には診療録、手術記録、検査所見、エックス線写真、紹介状などが含まれ、患者から求められた場合は原則として診療記録を開示するという考え方が示されています。医療機関ごとに申請方法や手数料が定められていることがあるため、受付へ確認しましょう。

元の歯科医院へ相談したほうがよいケース

再治療を検討するときは、可能であれば、最初に治療を受けた歯科医院へ相談する方法があります。

治療を担当した歯科医院には、使用したインプラントや部品、手術内容、治療前後の画像などが保管されている可能性があります。

また、保証期間内であれば、人工歯や部品の再製作、再治療費用などについて、保証を受けられる場合があります。

ただし、次のような場合は、他院への相談も検討しましょう。

  • 担当医の説明に納得できない
  • 症状が改善しない
  • 十分な検査を受けられない
  • 撤去や再治療の選択肢について説明がない
  • 治療した医院が閉院している
  • 転居などにより通院できない
  • 口腔外科などとの連携が必要と考えられる
  • 別の歯科医師の意見も確認したい

他院へ相談することは、元の歯科医院に責任があると決めつけることではありません。現在の状態を客観的に確認し、治療方法を比較するためのセカンドオピニオンとして利用できます。

セカンドオピニオンや相談時の準備については、「インプラント治療の相談・予約完全ガイド」も参考にしてください。

他院でのインプラント再治療が難しいことがある理由

他院で治療されたインプラントであっても、診察や再治療を受けられる歯科医院はあります。

ただし、すべての歯科医院が、すべてのインプラント製品や再治療に対応できるわけではありません。

対応する部品を用意できない

使用されているインプラントのメーカーや製品が不明な場合、適合するネジやアバットメントを特定できないことがあります。

海外製品、流通量の少ない製品、製造が終了した製品などでは、部品の入手が難しい場合があります。

人工歯を外せない

人工歯の固定方法がわからない場合や、接着材で強く固定されている場合、人工歯を壊さずに取り外せないことがあります。

内部のネジやインプラント体を確認するために、人工歯へ穴を開けたり、人工歯を切断・再製作したりすることがあります。

原因の特定が難しい

治療前後の画像や手術記録がない場合、もともとの骨の状態や、いつから骨吸収が進んだのかを判断しにくくなります。

また、症状の原因がインプラントだけではなく、隣の歯、歯周病、噛み合わせ、顎関節、神経などにある可能性もあります。

高度な外科処置が必要になる

インプラントの撤去、骨造成、神経に近い部位の処置、上顎洞への対応などが必要なケースでは、設備や経験のある医療機関への紹介が必要になることがあります。

再治療を受ける歯科医院の確認ポイント

インプラントの再治療を相談するときは、次の点を確認しましょう。

  1. 他院で受けたインプラント治療の相談に対応しているか
  2. インプラントの保存治療と撤去の両方を検討できるか
  3. 歯科用CTによる検査を受けられるか
  4. 使用中のインプラント製品を特定できるか
  5. インプラント撤去に対応しているか
  6. 骨造成や歯ぐきの処置に対応しているか
  7. 口腔外科などと連携できるか
  8. 現在のインプラントを残す場合の見通しを説明してくれるか
  9. 撤去・再埋入のメリットとリスクを説明してくれるか
  10. インプラント以外の選択肢も提示してくれるか
  11. 治療回数、期間、費用の総額を説明してくれるか
  12. 再治療後の保証やメンテナンス条件が明確か

インプラントを撤去できることだけでなく、撤去後の骨や歯ぐきをどのように回復させ、最終的な噛み合わせをどのように作るかまで説明を受けることが重要です。

インプラント治療全般の危険性や、失敗を防ぐための考え方については、「インプラントのリスク完全ガイド」もあわせてご確認ください。

再治療の費用と保証

インプラントの再治療にかかる費用は、問題が起きている部位と必要な処置によって大きく異なります。

主な費用項目には、次のものがあります。

  • 診察・検査費用
  • レントゲン・CT撮影費用
  • 人工歯の取り外し
  • ネジやアバットメントの交換
  • 人工歯の再製作
  • インプラント周囲炎の治療
  • インプラントの撤去
  • 骨造成
  • 歯ぐきの移植
  • 新しいインプラントの埋入
  • 仮歯
  • 最終的な人工歯

元の歯科医院の保証を利用できる場合もありますが、保証期間、定期検診の受診状況、喫煙、事故、転院後の処置などについて条件が設けられていることがあります。

他院で治療を開始すると、元の歯科医院の保証を受けられなくなる可能性もあるため、緊急性がない場合は、処置を受ける前に保証内容を確認しましょう。

他院での再治療では、元の医院の保証が引き継がれないことが一般的です。新しい歯科医院での費用と、再治療後の保証条件を書面で確認することが大切です。

すぐに歯科医院へ連絡したほうがよい症状

次のような症状がある場合は、通常の定期検診まで待たず、治療を受けた歯科医院または対応可能な歯科医療機関へ連絡してください。

  • インプラントや人工歯が大きくぐらつく
  • 急に噛めなくなった
  • 強い痛みがある
  • 腫れが急速に大きくなっている
  • 膿が出ている
  • 出血が止まらない
  • 発熱や強い倦怠感がある
  • 顔や顎が腫れている
  • 唇、顎、舌などにしびれがある
  • 鼻から膿が出る
  • 飲み込みにくい
  • 息苦しさがある
  • 人工歯や部品が外れた、または飲み込んだ可能性がある

外れた人工歯やネジなどの部品が見つかった場合は、捨てずに清潔な容器へ入れて歯科医院へ持参しましょう。

自分で接着剤を使用したり、工具で締め直したりしてはいけません。市販の接着剤は口腔内での使用を想定しておらず、内部の確認や再治療を難しくする可能性があります。

インプラントの再治療に関するよくある質問

他院で入れたインプラントでも診てもらえますか?
他院で治療されたインプラントの診察や再治療に対応している歯科医院はあります。
ただし、使用されているインプラント製品、必要な部品、症例の難易度などによっては、対応できない場合や専門医療機関への紹介が必要になる場合があります。
予約時に「他院で治療したインプラントの相談」であることを伝えましょう。
インプラントがぐらついています。やり直しになりますか?
必ずしもインプラント体の撤去が必要とは限りません。
人工歯やネジだけが緩んでいる場合は、締め直しや部品交換で対応できる可能性があります。一方、インプラント体自体が骨の中で動いている場合は、撤去を検討することがあります。
早めに検査を受け、どの部分が動いているのか確認しましょう。
インプラント周囲炎でもインプラントを残せますか?
炎症の進行度や骨吸収の範囲によって異なります。
初期であれば、清掃、セルフケアの改善、噛み合わせの調整などによって、現在のインプラントを維持できる可能性があります。
骨吸収が大きく進行し、インプラント体が動いている場合などは、撤去が必要になることがあります。
インプラントを撤去すると骨がなくなりますか?
撤去方法や現在の骨の状態によって異なります。
周囲の骨をできるだけ削らずに撤去できる場合もありますが、強く骨と結合しているインプラントや破折したインプラントでは、周囲の骨を削る必要が生じることがあります。
撤去後の再埋入を希望する場合は、骨をできるだけ温存する方法と、骨造成の必要性について説明を受けましょう。
同じ場所にもう一度インプラントを入れられますか?
顎の骨や歯ぐきの状態、感染の有無、再治療の原因などによっては、同じ場所へ再びインプラントを埋め込めます。
ただし、骨造成が必要になったり、治癒期間を設けたりすることがあります。また、初回と同じ原因を残したまま再埋入すると、再び問題が起こる可能性があります。
治療した歯科医院が閉院していて、メーカーもわかりません
まずは、他院治療のインプラントに対応している歯科医院へ相談しましょう。
レントゲン画像やインプラントの形状、接続部分などから製品を推定できる場合があります。ただし、製品を特定できない場合は、対応部品を用意できず、人工歯やインプラント体の撤去・交換を検討することがあります。
インプラントカードや保証書、過去の見積書などが残っていないか確認してください。
元の歯科医院に言わずに他院へ相談してもよいですか?
別の歯科医院で診察やセカンドオピニオンを受けることは可能です。
ただし、緊急性がない場合は、元の歯科医院の保証条件や診療記録の受け取り方法を確認してから処置を受けたほうがよいことがあります。
他院では、まず診察と意見を聞くだけにして、治療方法を比較してから決めることもできます。

まとめ

インプラントの再治療・やり直しは可能ですが、必ずインプラント体を撤去して入れ直すわけではありません。

問題が人工歯、ネジ、アバットメントに限られていれば、現在のインプラント体を残したまま治療できる可能性があります。

一方、インプラント体の強い動揺、破折、進行した骨吸収などがある場合は、インプラントを撤去し、骨造成や再埋入を検討することがあります。

他院で再治療を受ける場合は、次の点が重要です。

  • どの部分に問題があるのか診断を受ける
  • 最初の治療がうまくいかなかった原因を確認する
  • 現在のインプラントを残せるか確認する
  • 撤去した場合に再埋入できるか確認する
  • 骨造成や歯ぐきの処置が必要か確認する
  • インプラント以外の治療方法も比較する
  • インプラントのメーカーや製品情報を確認する
  • 過去のレントゲン・CT・手術記録を準備する
  • 元の歯科医院の保証条件を確認する
  • 再治療の期間、費用、保証を確認する

再治療では、「とにかく新しいインプラントを入れること」よりも、問題が起きた原因を特定し、同じ問題を繰り返さない治療計画を立てることが重要です。

痛み、腫れ、出血、膿、ぐらつきなどがある場合は、放置せず早めに歯科医院へ相談しましょう。

※本記事は、インプラントの再治療に関する一般的な情報を提供するものです。治療の適応、撤去の必要性、再埋入の可否、治療期間などは、口腔内や全身の状態によって異なります。実際の治療については、歯科医師による診察と説明を受けてください。