古谷野 潔
Kiyoshi Koyano
経歴
- 1983年
- 九州大学歯学部 卒業
- 1987年
- 九州大学大学院歯学研究科博士課程歯学臨床系専攻 修了(歯学博士)
- 1991年
- 米国UCLA 客員助教授(文部省在外研究員)
- 1997年
- 九州大学歯学部 教授
- 1999年
- 九州大学総長補佐
- 2003年
- 九州大学歯学部附属 病院長
- 2011年
- 九州大学病院再生歯学・インプラントセンター センター長
- 2012年
- 九州大学総長特別補佐
- 2014年
- 福岡学園(福岡歯科大学,福岡看護大学,福岡医療短期大学)理事
- 2017年
- 九州大学大学院歯学研究院長,歯学府長,歯学部長
- 2019年
- 九州大学病院 副病院長(統括・歯科担当)
- 2021年
- 九州大学名誉教授,九州大学大学院歯学研究院 特任教授
主な学会活動
日本歯科医学会 元理事, 第23回総会学術部会長
日本補綴歯科学会 元理事長 (指導医・専門医)
日本口腔インプラント学会 元常務理事(指導医・専門医)
日本顎関節学会 元理事長(指導医・専門医)
日本顎口腔機能学会 元理事
日本口腔顔面痛学会 元理事
International College of Prosthodontists(国際補綴歯科学会) 元会長
Asian Academy of Prosthodontics(アジア補綴歯科学会) 元会長
Asian Academy of Osseointegration(アジアインプラント学会) 元会長
日本学術会議会員 (22-23期) 歯学委員会委員長(23期)
International Team for Implantology, Section Japan Chairman
大学外にての主な活動歴
【厚生労働省】
歯科医師試験委員(H16-H22)
医道審議会専門委員 歯科医師分科会委員(H19)
歯科医師国家試験出題基準改訂部会幹事委員(H20)
【文部科学省】
中央教育審議会大学院部会医療系WG委員
歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議委員
日本学術振興会 組織的な大学院教育改革推進プログラム委員会委員
共用試験歯学系OSCE事後評価解析小委員会委員長(H16-H19)
北海道歯学部 非常勤講師
東北大学歯学部 非常勤講師
日本歯科大学新潟生命歯学部 非常勤講師
東京医科歯科大学歯学部 非常勤講師
昭和大学歯学部 非常勤講師
鶴見大学歯学部 非常勤講師
神奈川歯科大学歯学部 客員教授
大阪大学歯学部 非常勤講師
徳島大学歯学部 非常勤講師
岡山大学歯学部 非常勤講師
広島大学歯学部 非常勤講師
長崎大学歯学部 非常勤講師
鹿児島大学歯学部 非常勤講師
西安交通大学口腔医院 客座教授
Journal of Oral Rehabilitation Associate Editor
Journal of Odntology Associate Editor
International Journal of Prosthodontics Associate Editor
はじめに
1983年九州大学歯学部卒業、1997年九州大学歯学部教授、2003年九州大学歯学部附属病院長、2019年九州大学病院副病院長、2021年九州大学名誉教授——日本の歯学界のトップとして、40年近くにわたり第一線で活躍してこられた古谷野潔先生。
日本補綴歯科学会元理事長、日本口腔インプラント学会元常務理事、日本顎関節学会元理事長として国内学会を牽引し、さらにInternational College of Prosthodontists(国際補綴歯科学会)元会長、Asian Academy of Prosthodontics(アジア補綴歯科学会)元会長、Asian Academy of Osseointegration(アジアインプラント学会)元会長として、国際的な視野で歯科医療の質の向上に尽力してこられました。
病院長、副病院長として組織全体の医療の質を管理し、日本学術会議会員として歯学委員会委員長も務めた古谷野先生に、「真のインプラント名医」とは何か、患者が後悔しないために知っておくべきことは何かを伺いました。
インプラント名医の真の定義
――国際的視点から見た基準
――古谷野先生が考える「インプラント名医」の定義を教えてください。
私は国際補綴歯科学会の会長を務め、世界中の歯科医師と交流してきました。その経験から断言できるのは、真の名医は「世界基準」を満たしている医師だということです。
日本だけで通用する医師ではなく、国際的に見ても一流と認められる医師——これが私の考える「名医」の定義です。
名医の3つの必須条件
国際的な学会での活動実績がある
International College of Prosthodontists、Asian Academy of Osseointegrationなど、国際学会で発表や討論ができる医師は、常に世界最高レベルの治療を学んでいます。
日本国内だけで満足している医師と、世界を見ている医師では、知識と技術の質が全く違います。
複数の専門領域を深く理解している
私自身、補綴歯科学会、口腔インプラント学会、顎関節学会の3つの学会で理事長または常務理事を務めてきました。
なぜ複数の専門性が必要か? インプラント治療は、外科、補綴、咬合、顎関節——全てが関係するからです。一つの専門性だけでは、真に患者を治せません。
教育者としての実績がある
九州大学歯学部教授として、また全国の大学で非常勤講師を務めてきましたが、教育できる医師は、知識を体系的に理解しています。
自分だけができても意味がない。後進を育成できる医師こそが、真の名医です。
匠インプラントで推薦する
医師の具体的な基準
――病院長の視点
――「匠インプラント」で医師を推薦される際、どのような基準で判断されますか?
九州大学歯学部附属病院長、九州大学病院副病院長として、何百人もの歯科医師の診療を管理してきました。その経験から、推薦する医師の基準は極めて明確です。
【基準1】
大学病院レベルの診療能力がある
九州大学病院再生歯学・インプラントセンター長として、難症例を数多く診てきました。
開業医では扱わないような難しいケース——重度の骨欠損、全身疾患を持つ患者、他院で失敗した症例——こうした症例に対応できる医師を推薦します。
なぜなら、難症例に対応できる医師は、通常の症例でも確実に成功させられるからです。
【基準2】
国際的な資格・認定を持っている
日本の資格だけでは不十分です。私が推薦するのは、International Team for Implantology (ITI)など、国際的な組織で認定された医師です。
なぜなら、国際基準は日本の基準よりも厳しく、継続的な学習と症例報告が求められるからです。
【基準3】
エビデンス(科学的根拠)に基づく治療を行う
Journal of Oral Rehabilitation、Journal of Prosthodontics、International Journal of Prosthodontics などの国際誌でAssociate Editorを務めてきた経験から言えるのは、論文を読み、書ける医師は信頼できるということです。
「自分の経験」だけに頼る医師は危険です。世界中の最新研究を理解し、それを臨床に活かせる医師を推薦します。
【基準4】
組織的な医療体制を整えている
一人の医師が全てを行うのではなく、チーム医療ができる体制を持っている医院を推薦します。
病院長として組織全体の医療の質を管理してきた経験から、一人の「名人芸」に頼る医療は、長期的には危険だと確信しています。
【基準5】
倫理観と誠実さを持っている
厚生労働省の歯科医師試験委員、医道審議会専門委員を務めた経験から、医師の倫理観の重要性を痛感しています。
技術があっても、患者を金儲けの対象としか見ていない医師は、絶対に推薦しません。
患者がインプラント治療で後悔しないために
――今、伝えたいこと
――患者さんがインプラント治療で後悔しないために、最も重要なことは何でしょうか?
九州大学病院副病院長として、多くの「他院で失敗した患者さん」を診てきました。その経験から、患者さんに伝えたい3つの重要なポイントがあります。
【重要ポイント1】
「安さ」の裏にあるリスクを知ってください
近年、「格安インプラント」の広告が増えています。しかし、医療に「安売り」はありません。
安い理由は必ずあります:
- 使用するインプラントの品質が低い
- 術前のCT検査を省略している
- 経験の浅い医師が担当している
- メインテナンス体制が不十分
船に例えるなら、安い船で大海原に出ますか? 命に関わる治療だからこそ、価格だけで選んではいけません。
【重要ポイント2】
「専門医」の意味を正しく理解してください
「インプラント専門医」を名乗る医師は多いですが、その資格の質は様々です。
私が患者さんに確認してほしいのは:
- 日本補綴歯科学会の指導医・専門医資格を持っているか
- 日本口腔インプラント学会の指導医・専門医資格を持っているか
- 大学病院での診療・教育経験があるか
- 国際学会での活動実績があるか
「専門医」と名乗るだけなら誰でもできます。しかし、公的な資格を持つ専門医は限られています。
【重要ポイント3】
必ず複数の専門医に相談してください
これが最も重要です。最低でも3人の専門医に相談し、セカンドオピニオン、サードオピニオンを取ってください。
そして、各医師の説明を比較してください:
- 「すぐにできます」と即断する医師
- リスクや代替案も丁寧に説明する医師
前者は避け、後者を選んでください。
また、全員が同じ治療を勧めるとは限りません。ある医師は固定式、別の医師はオーバーデンチャーを勧めるかもしれません。それで良いのです。なぜなら、正解は一つではないからです。
複数の意見を聞き、納得した上で決断してください。
国際的視点から見た日本の
インプラント治療の課題
――国際補綴歯科学会の会長として、日本のインプラント治療をどう評価されますか?
国際補綴歯科学会、アジア補綴歯科学会、アジアインプラント学会の会長を務めた経験から、率直に言わせていただきます。
日本のインプラント治療の技術レベルは、世界トップクラスです。しかし、問題は「質のばらつき」が大きすぎることです。
世界最高レベルの医師がいる一方で、十分な訓練を受けずにインプラント治療を行う医師も存在します。これは患者さんにとって大きなリスクです。
患者さんを守るための提言
日本学術会議会員として歯学委員会委員長を務めた立場から、患者さんに伝えたいことがあります。
医師の「格」を見極めてください。
- 大学病院で教授・准教授として教育に携わっているか
- 学会で理事長・理事として活動しているか
- 国際学会で発表・講演を行っているか
- 論文を発表しているか
こうした活動をしている医師は、常に最新の知識を更新し、高い倫理観を持っています。
一方、開業医として診療だけを行い、学会活動も教育活動もしていない医師は、知識と技術が停滞するリスクがあります。
最後に
――患者さんの人生を守るために
――最後に、これからインプラント治療を検討している患者さんへメッセージをお願いします。
私は40年近く、九州大学で教授、病院長、副病院長として、何万人もの患者さんを診てきました。その経験から、心から伝えたいことがあります。
インプラント治療は、あなたの人生を豊かにする素晴らしい治療です。しかし、医師選びを間違えれば、人生を台無しにするリスクもあります。
名医とは何か? それは、あなたの人生を本気で考えてくれる医師です。
- 技術だけでなく、倫理観を持っている
- 儲けより、患者の利益を優先する
- 「やらない」選択肢も正直に示す
- 10年後、20年後を見据えた提案をする
- 質問に丁寧に答え、納得するまで説明する
こういう医師を探してください。
そして、焦らないでください。一生使う歯のことです。時間をかけて、本当に信頼できる医師を見つけてください。
国際補綴歯科学会会長として世界中の医師を見てきましたが、日本には素晴らしい医師がたくさんいます。しかし、その中から真の名医を見極めるのは、患者さん自身の責任でもあります。
この記事が、あなたの医師選びの一助となれば幸いです。あなたの笑顔と健康を守るために、最高の医師と出会えることを心から願っています。
まとめ
――名医を見極める5つのチェックポイント
古谷野先生のお話から、「真のインプラント名医」を見極める5つのチェックポイントが明確になりました。
- 国際的資格:ITIなど国際的な組織で認定され、国際学会で活動している
- 複数の専門性:補綴歯科、インプラント、顎関節など複数の学会で専門医・指導医資格を持つ
- 大学病院経験:教授・准教授として教育に携わり、難症例の経験が豊富
- 学術活動:論文を発表し、エビデンスに基づく治療を行う
- 組織的医療:一人の名人芸ではなく、チーム医療体制が整っている
メリットは、これらの基準を満たす医師なら、世界最高レベルの知識と技術を持ち、常に最新の治療法を学んでおり、倫理観も高いため、長期的に安心して治療を任せられることです。
デメリットは、こうした「真の名医」は極めて限られており、予約が取りにくい場合があることです。また、世界基準の治療を行うため、費用が高くなる可能性があります。しかし、一生使う歯のことを考えれば、これは必要な投資と言えるでしょう。