春日井 昇平
Shohei Kasugai
経歴
- 1979年
- 東京医科歯科大学歯学部卒業
- 1983年
- 同大学、大学院修了(歯学博士)
- 同大学 歯学部助手(歯科薬理学講座)
- 1989年
- トロント大学 ポスドク
- 1995年
- 東京医科歯科大学歯学部 助教授
- 2000年
- 同大学大学院医歯学総合研究科 教授
- 2001年
- 同大学歯学部附属病院 インプラント外来 科長
- 2020年
- 同大学 名誉教授
- 2021年
- 総合南東北病院 顎顔面インプラントセンター センター長
日本口腔インプラント学会 指導医・専門医
日本顎顔面インプラント学会 指導医
International Team for Implantology (ITI) Fellow
はじめに
東京科学大学名誉教授、元東京医科歯科大学大学院医歯学研究科インプラント口腔再生医学分野教授、現在は総合南東北病院顎顔面インプラントセンター長を務める春日井昇平先生。
日本口腔インプラント学会指導医・専門医、日本顎顔面インプラント学会指導医、バイオインテグレーション学会会長、国際インプラント学会(ICOI)日本法人専務理事として、日本のインプラント治療を牽引してこられました。
そして2025年1月、世界初となる「歯根膜を付与する次世代バイオインプラント」の特定臨床研究を開始。従来の骨結合型インプラントを超える、天然歯に近い機能を持つ画期的な治療法の実用化に挑戦されています。
40年以上にわたりインプラント治療と研究の最前線に立ち続けてきた春日井先生に、「真のインプラント名医」とは何か、患者が後悔しないために知っておくべきことを伺いました。
インプラント名医の真の定義
――未来を見据える医師
――春日井先生が考える「インプラント名医」の定義を教えてください。
40年以上、インプラント治療に携わり、世界初の次世代バイオインプラント臨床研究の責任者を務める立場から言えるのは、真の名医とは「今ある技術」だけでなく「未来の技術」まで見据えられる医師だということです。
名医の3つの必須条件
常に進化し続ける姿勢を持つ
従来のインプラント治療は骨結合型が主流でしたが、歯根膜がないため、噛んだ時の衝撃吸収能や歯の知覚(噛みごごち)、感染防御、加齢成長に合わせた歯の移動能などの機能がありません。
真の名医は、現在の治療法の限界を認識し、常に新しい技術を学び続ける医師です。「今できること」に満足せず、「明日できること」を追求する姿勢が不可欠です。
患者の「10年後、20年後」まで考える
骨結合インプラントには、成長期の若齢患者には不適応であり、また高齢介護の口腔衛生の観点から抜歯したいときに抜去できないなど社会的な課題があります。
真の名医は、埋入時だけでなく、患者さんの人生全体を見据えた治療計画を立てられる医師です。
「できない」と正直に言える誠実さ
技術的には可能でも、その患者さんにとって最善でない場合は、正直に「今はやるべきではない」と言える医師。これが最も重要です。
世界初の挑戦
――次世代バイオインプラントとは
――先生が現在取り組まれている「次世代バイオインプラント」について教えてください。
2025年2月から、世界初となる「歯の喪失に対する器官再生治療」として、医療機器であるインプラントを、天然歯と同様に歯根膜を介して歯槽骨に結合させる次世代バイオインプラントの特定臨床研究を開始します。
従来のインプラントとの決定的な違い
従来の骨結合型インプラントは、チタンと骨が直接結合します。一方、次世代バイオインプラントは、天然歯と同じように「歯根膜」を介して骨と結合します。
歯根膜の機能として、噛んだ時の衝撃吸収能や歯の知覚(噛みごごち)、感染防御、加齢成長に合わせた歯の移動能などがあり、これらは従来のインプラントにはない機能です。
画期的な治療法の可能性
この技術により、従来は禁忌とされてきた若齢患者への適応拡大や天然歯との連結治療も可能になります。さらに、要介護状態となった高齢患者のインプラント除去における困難な歯科的問題も介護現場において抜歯処置と同様の対応ができるという利点もあります。
匠インプラントで推薦する
医師の具体的な基準
――「匠インプラント」で医師を推薦される際、どのような基準で判断されますか?
【基準1】研究マインドを持っている
国立研究開発法人理化学研究所において研究したものであり、世界に先駆けてその安全性と有効性を検証するような臨床研究に携わっている、あるいは学術活動に積極的な医師を推薦します。
なぜなら、研究マインドを持つ医師は、エビデンスに基づいた治療を行い、常に最新の知見を学び続けるからです。
【基準2】大学病院レベルの専門性がある
東京医科歯科大学大学院医歯学研究科インプラント・口腔再生医学分野教授として長年教育と臨床に携わってきた経験から、大学病院で教授・准教授として後進を指導してきた医師は、知識の体系化ができており、難症例にも対応できます。
【基準3】複数の学会で指導医・専門医資格を持つ
日本口腔インプラント学会指導医・専門医、日本顎顔面インプラント学会指導医、バイオインテグレーション学会会長、国際インプラント学会(ICOI)日本法人専務理事など、複数の学会で認定された医師は、多角的な専門性を持っています。
一つの学会だけでなく、複数の専門領域を持つことで、患者さんに最適な治療法を提案できます。
【基準4】患者の人生全体を考えられる
単に「歯を入れる」だけでなく、患者さんの10年後、20年後、さらには介護が必要になった時のことまで考えられる医師を推薦します。
【基準5】新しい技術に対してオープンである
現在の治療法に固執せず、次世代の治療法にも関心を持ち、学び続ける姿勢を持つ医師。技術は日々進化しています。それについていける医師が真の名医です。
患者がインプラント治療で
後悔しないために――今、伝えたいこと
――これからインプラント治療を検討している患者さんに、最も伝えたいことは何ですか?
【重要ポイント1】
「今の技術」だけで判断しないでください
インプラント治療の世界は、日々進化しています。日本歯科医学会の「2040年への歯科イノベーションロードマップ」において、第1期(2019年〜2025年)に「天然歯に近い機能をもつ次世代バイオインプラントが開発」され、第3期(2033年〜2039年)には「天然歯に近い機能をもつ次世代バイオインプラント治療が一般化する」と予測されています。
「今、すぐにインプラントをしなければ」と焦らないでください。 数年待つことで、より優れた治療法が受けられる可能性があります。
特に若い患者さんには、慌てて従来のインプラントを選ぶのではなく、次世代の技術を待つという選択肢も考えてほしいのです。
【重要ポイント2】
「抜けない」ことがメリットとは限りません
従来のインプラントは「一生抜けない」ことがメリットとされてきました。しかし、高齢介護の口腔衛生の観点から抜歯したいときに抜去できないなど社会的な課題もあります。
人生は変化します。将来、介護が必要になった時、口腔ケアが難しくなった時のことまで考えてください。
【重要ポイント3】
医師の「学び続ける姿勢」を確認してください
患者さんに確認してほしいのは:
- 最新の学会に参加しているか
- 論文を読み、研究に関心を持っているか
- 新しい治療法について説明できるか
「昔からこのやり方でやっています」という医師は避けてください。 技術は進化しています。学び続ける医師を選んでください。
次世代への責任
――若い医師たちへのメッセージ
――次世代の歯科医師に伝えたいことはありますか?
この特定臨床研究の基盤技術は、オーガンテックの取締役会長・創業者である辻孝を中心とした研究グループが、国立研究開発法人理化学研究所において研究したものです。基礎研究から臨床応用まで、長い年月と多くの研究者の努力があって、初めて実現します。
若い歯科医師の皆さんには、目の前の患者さんを治すことだけでなく、未来の患者さんのために研究するという視点も持ってほしい。
臨床だけでなく、研究にも携わる。学会で発表する。論文を書く。そうした活動が、歯科医療全体を前進させます。
最後に
――患者さんへのメッセージ
――最後に、患者さんへメッセージをお願いします。
インプラント治療は、確かに素晴らしい治療法です。しかし、技術は日々進化しています。
2025年2月から世界初の次世代バイオインプラントの臨床研究が始まります。これは、インプラント治療の新しい時代の幕開けです。
焦らないでください。 今すぐ治療しなければならない緊急性がないなら、数年待つことで、より優れた治療法が受けられる可能性があります。
そして、医師を選ぶ際は:
- 学会活動に積極的か
- 研究マインドを持っているか
- 新しい技術に関心を持っているか
- 患者の10年後、20年後を考えているか
こうした視点で選んでください。
真の名医とは、「今できること」だけでなく、「未来できること」まで見据えて、患者さんに最善の選択肢を提示できる医師です。
あなたの人生を豊かにするインプラント治療のために、真の名医と出会えることを願っています。
まとめ
――名医選びの5つのチェックポイント
春日井先生のお話から、「真のインプラント名医」を見極める5つのチェックポイントが明確になりました。
- 研究マインド:学会活動や臨床研究に携わり、エビデンスに基づく治療を行う
- 大学病院経験:教授・准教授として教育に携わり、難症例の経験が豊富
- 複数の専門性:複数の学会で指導医・専門医資格を持ち、多角的な視点を持つ
- 未来志向:現在の技術だけでなく、次世代の治療法にも関心を持つ
- 長期的視点:患者の10年後、20年後、介護が必要になった時まで考えられる
メリットは、これらの基準を満たす医師なら、現時点で最善の治療を提供できるだけでなく、将来的により優れた治療法が登場した際にも適切にアドバイスしてもらえることです。また、患者のライフステージ全体を見据えた治療計画を立ててもらえます。
デメリットは、こうした「真の名医」は極めて限られており、予約が取りにくい場合があることです。また、次世代の治療法を待つ場合は、数年間待つ必要があります。しかし、一生使う歯のことを考えれば、この時間は決して無駄ではありません。