総入れ歯の問題点

安定性の欠如

総入れ歯、特に下の総入れ歯は、安定性に欠けており、これが大きな問題となっています。
入れ歯が動いたり、外れたりすると、咀嚼や発音に支障をきたします。
また、食事中に入れ歯が外れる不安から、外食など社会的な活動を控えてしまう方もいらっしゃいます。

咀嚼力の低下

総入れ歯は、普通の歯と比べると咬む力がとても低いです。
これは、入れ歯が歯茎で支えられている構造になっていて、歯根のような強い支えがないことが原因です。
噛む力が下がると、食べ物の選択肢が減り、十分な栄養が取れなくなることがあります。

味覚の変化

総入れ歯、特に上の総入れ歯は、口蓋を広く覆うため、お口の粘膜への食べ物の接触が妨げられます。
その結果、食事の感覚が悪くなり、食事の楽しみが半減してしまうことがあります。
また、入れ歯の装着により、口腔内の温度や触感も変化し、違和感を感じることがあります。

顎堤の吸収

歯を失うと、顎の骨(顎堤)は徐々に吸収されていきます。
総入れ歯の使用が長期間になると、顎堤の吸収はより一層進行します。
顎堤が吸収されると、入れ歯の安定が悪くなり装着感が低下します。
安定が悪くなった入れ歯は、定期的に調整する必要があります。

無歯顎へのインプラント治療の利点

高い安定性の実現

インプラントは、顎の骨に直接固定されるため、総入れ歯と比べると安定性は格段に高いです。
インプラントを支えにした入れ歯は、咀嚼や発音時に動くことがなく、総入れ歯でないかのように安定しています。
安定性が増すと、食事や会話が快適になります。

咀嚼力の回復

インプラントで支持された入れ歯は、普通の総入れ歯と比べて咬む力が大幅に改善します。
顎の骨に固定されたインプラントが支えてくれるため、高い咀嚼力を発揮できます。
食べ物の選択肢が広がり、栄養バランスの改善につながります。

味覚の改善

インプラントオーバーデンチャーでは、上顎の口蓋部を覆う必要がないため、上顎の粘膜への食べ物の接触が妨げられません。
総入れ歯と比べて、より自然な食べ物の感触を感じることができます。
食事の満足度が向上し、QOLの改善につながります。

顎堤吸収の抑制

インプラントは、顎の骨に刺激を与えることで、顎堤の吸収を抑制する効果があります。
総入れ歯と比べて、顎堤の吸収速度が遅くなり、入れ歯の合い具合も長く維持されます。
顎堤を保つことは、将来的な入れ歯の調整頻度を減らすことにもつながります。

無歯顎へのインプラント治療のオプション

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントで支えられた総入れ歯です。
通常、下顎に2〜4本、上顎に4〜6本のインプラントを配置し、それらを利用して入れ歯を固定します。
総入れ歯と比べて安定性と咀嚼力が向上し、顎堤吸収の抑制効果もあります。

All-on-4コンセプト

All-on-4コンセプトは、4本のインプラントで固定式のブリッジを支持する方法です。
これにより、入れ歯を使用せずに、固定式の人工歯で咀嚼機能を回復することができます。
総入れ歯の安定性に劣る下顎に使うことが多いです。
インプラント手術を受けた日に被せ物をつける即時荷重が可能なため、インプラント手術後すぐに固定式の人工歯を装着できます。

ジルコニアインプラントブリッジ

ジルコニアインプラントブリッジは、審美性に優れた全顎的な固定式の補綴装置です。
通常、6〜8本のインプラントで支持されたジルコニアで作られたブリッジを装着します。
普通の歯のような審美性、しっかりした噛み合わせ機能を実現できるため、高い患者満足度が得られます。

無歯顎の方にとって、総入れ歯の安定性の欠如、咀嚼力の低下、味覚の変化、顎堤の吸収は大きな問題です。
これらの問題は、QOLの低下につながります。
インプラント治療は、これらの問題を解決し、より高いQOLを実現するための有効な選択肢です。

インプラントオーバーデンチャー、All-on-4コンセプト、ジルコニアインプラントブリッジなど、無歯顎へのインプラント治療のオプションは多岐にわたります。
それぞれの利点と欠点を理解し、患者さんの状態や要望に合わせて最適な治療法を選択することが重要です。

無歯顎の方がインプラント治療をご検討の際は、まず専門医に相談することをおすすめします。
専門医が患者さんの顎の骨の状態、全身的な健康状態、要望などを詳しく評価し、最適な治療計画を提案します。
インプラント治療により、総入れ歯の問題点を解消し、よりよいQOLを手に入れることができるでしょう。